連帯感

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そして三鬼が自分の下へ戻ったことを改めて実感した。 昔はわからなかったけれど、今こうして京が手元に戻ってみてはじめてその充足感に気が付いた。 自分が和正で、三鬼を治める者だということを初めて自然に感じていた。 そうか、和正というのは三鬼を治めることが可能な者ではなく、治める者そのものなのか。 三鬼を治めてはじめて完成される存在。 わかっていたようで、全くわかっていなかった。 自分にとってこの名はずっと重荷だったのに、皐月を傍におくことで自分を納得させてきたのに、それは見当違いだった。 ここまで来るのに随分時間が掛ったなと、一人内心で呟く。 「どうした?和正。」 京が言う。 「いや、俺はおまえたちがいて初めて和正なんだなと思ってな。」 和正は三鬼の傍へ歩み寄る。 「やっと気が付いたか。」 秋が言う。 「ああ、この血にはそんなことまで組み込まれてるんだな。」 和正はしみじみと言う。 「そうよ。ずっと私達が繋いで来たんだもの。私達と共にあるようにできてるのよ。」 皐月が言う。 「やっと一人前だな。和正。」 京が言う。 「ああ。おまえたちに迷惑を掛けたな。」 和正は目を府せる。 「それはお互い様でしょう。私たちはずっと一緒よ。辛いことも悲しいことも。」 皐月が和正を見る。 「完璧なんか求めてねえよ。ちゃんと辿りつけたんだったらそれでいい。」 秋が和正を見る。 「おまえはおまえでいいんだ。和正。その名を背負うことの重さ、これでも分かってるつもりだ。」 京が大人びた眼差しで和正を見る。 普段は見せない顔。 「そうか。」 和正がそう言うと同時に、風が起こす。散らばって揺らいでいた炎が浮かび上がる。 まるで華吹雪のように巻き上がる炎。 「きれい・・・。」 皐月が呟く。
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