連帯感

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「和泉いるー?」 外から声がする。 めずらしい来訪者に、一人仕事をしていた和泉は顔を上げる。 「京か?入れ。」 京が入って来る。続いて秋も入って来る。 「秋ってまだ寝たらまずいよな。」 入って来るなり京が言う。 「もう、いいだろ。正也のことは片付いたし。俺は皐月に寝かせてほしいんだよ。」 秋が京の後を追うように言う。 「それは、単なるおまえのわがままだろうが。」 和泉は落ち着いた様子で秋に答える。 「駄目だって言うなら、和也で。」 秋が反論する。 「却下。」 和泉が即答する。 「じゃあ、正也。」 秋がさらにかぶせる。 「却下っ。ってか、ムリだろっ。」 京が言う。 「わがままはおまえらだろうが。和也と正也がだめなら、皐月で手打てよ。」 秋が半ば呆れて言う。 和泉も京も黙る。 「あんた達、私をなんだと思ってんの。でも、和也も正也も却下よ。」 ドアが開いたままだった入口から皐月と和正が入って来る。 「俺としては皐月も却下だな。」 和正が言う。 京がぼそっと呟く。 「ってかさ」 「「「「一人で寝ろよっ。」」」」 四人が同時に秋に向かって言う。
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