連帯感

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秋の習性。日和不在時は通常とは違う深い眠りについて待つことが多い。 そのため、眠りに着く時は誰かに眠りに導いて貰う方が気分がいい。 簡単に言うと封印みたいなもので、寝かしつけてもらうようなもの。 眠りに着く前の気持ちいい状態の時に見るのが男では嫌だというのが、秋の主張。 「俺、今回結構役に立ったのにみんな冷たいんだな。」 秋は少し悲しそうに言う。 一同が怯む。 「わかった。じゃあ、私ね。」 皐月が仕方ないという感じに言う。 「さすが、皐月。」 秋が安堵したように微笑む。 「じゃあ、俺も。子供の姿になるからいいだろ。」 京が言う。 「えっ?」 秋が驚いて京を見る。 和泉と和正が顔を見合わせる。 「何言ってんの?おまえ。」 秋が京の額に手を宛てる。 「和正がかわいそうだろ。それに、皐月だけに負担させるのもどうかと思うし。俺の好意を踏みにじるなよ。」 京は秋の手を払う。 「そうね、それがいいわ。なんなら、どうせだから、ここにいるみんなっていうのは?」 皐月はうれしそうに言う。 「俺は断る。」 和泉が言う。 「こっちから願い下げだ。」 秋が和泉に向かって舌を出す。 「俺は構わんけど。」 和正が言う。 「いや、そう何人も来られても、落ち着かねえよ。ってことは、オッケーってことだよな。」 秋がみんなを見回す。 「いいか?和泉?」 和正が言う。 「ああ、後はなんとかなるだろう。」 和泉は反論するでもなく答える。 正直なところ、海の件が残っているのでもう少し起きていて貰いたかったけれど、今回の働きを思えば多少のわがままは聞いてやってもいいか、と承諾した。
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