変った日常

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私と薫が、保健室から戻ってきて見た光景は、驚愕でしかなかった。 雄矢は、クールキャラで通っていて、みっともないことは、まずしない。 そんな彼が。 ひっくり返された机の上に散らばった画鋲を、一つ一つ素手で取り上げているではないか。 遠巻きに見るクラスメイトは驚いた顔をしていて ファンクラブの女子たちはというと、私の方にいっぺんに顔を向けた。 ちょ、軽くホラーなんですけど。 「ごめんね、雄矢君。 でもさ、志穂さん他の男の子とも付き合ってるから、雄矢君バカにされたみたいで、悔しくて。 …志穂さん、うらやましいなあ。 雄矢君に大事にされてさ。 よくよくみたら、志穂さんって可愛いもんね。 ただ、少し髪梳かした方がいいと思うよ」 もちろん、私は誰とも付き合ってない。 雄矢も本気にしてないらしく、一瞬眉間がひくついたが、無視していた。 よくよく見なきゃ可愛いって分からない程度のテンパ女 って言いたいんだろう。 私は溜息をつく。 いいのだ。このテンパは、葱が気に入ってくれてるから。 もし、葱がストレートが好きなら、私は月1でストパーをかけにいくくらいだろう。 今まで、当たり障りのない人生をおくってきたのに、今クラスの中心で睨まれているのは私だった。 でもいい、嫌いな人たちに嫌われたって、なんとも思わない。 私は葱だけを思い浮かべ、机を起き上がらせる。 画鋲を取りおえた雄矢に軽くお礼を言うと、雄矢は私のお礼を無視して、クラスメイトにいった。 「お前ら、いい加減にしてくれよ。 俺が志穂に告白したんだ。 志穂は他の誰とも付き合ってないし 俺も志穂以外と付き合おうとは思えない。 好きなんだ だから、諦めてくれ。ごめん」 その真剣な声に彼は役者にでもなれるんじゃないかと思った。
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