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そういう俺に対し、友人三人中二人はニヤニヤしていた。
「なあ、里香去り際なんて言ったん?」
「なんかな 聞えたよな」
まあ、あんな近くで言われちゃな。
「まあまあ、それより、三人とも。
今日放課後にゲーセンよろうぜ」
サトルがそう促して、この話は保留になった。
サトルは空気の読めないフリをするのがうまい。
あえて空気をよまないという奴だ。
それに俺が何度救われてきたことか。
「いや、ゲーセンは遠慮しとく」
けれど俺はそう断った。
「なんだー? 金欠か?」
笑う友人達。
俺は、サトルにだけ口パクで屋上にいってくる
と告げた。
おまえもたいへんだな
と口パクで返ってくる。
別に、俺は大変じゃないさ。
大変なのは、俺に振り回されているファンのやつらと志穂の方だろう。
だからって、解放してやる気はさらさらないが。
俺は知っていた。
俺の友人は本当は俺のことが嫌いだし、嫌いでないにしても、疎遠で居ようとしている。
理由は分かる。
俺がクラスの女子のほとんどを独占してしまってるせいだ。
でなきゃ他に嫌う要素なんかないだろう。
いわばただの逆恨み。
けれど、俺はその逆恨みとやらに悩まされて数年なわけで。
サトルに好きな奴がいなくて助かった。
別にホモなわけじゃないけど、このままサトルに好きな奴や彼女が出来なければいいと思う。
だって、それだけで俺たちの小学生からの絆が一瞬で途絶えてしまうのは
なんだかとても寂しいことじゃないか。
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