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その日はなにか嫌な予感がしていた。
それは、野良猫がからすを襲っているのを見たり、妙によどんだ空をみたせいかもしれない。
とにかく嫌な予感がしたまま私は寒さに背を丸めながら自転車をこいでいた。
いやだなあ。
学校いきたくないなあ
今日もどこかで誰かがぼやいてそうなことをぼやく。
その度に体が重くなっていく。
登下校を繰り返す毎日に何の意味も感じないのだ。
成長すればなにか変るだろうか？
かといって、それは職についても通勤と帰宅と名前を変えるだけで同じ事。
それを不幸と呼ぶつもりはないけれど
私…。笹菜志穂の人生は何時だって平凡だった。
でもよくある話。
平凡というのは失われてから気付くものらしくて
「俺 お前のこと好きなんだけど」
私の平凡は、そんな嫌な予感が渦巻いていたその日に終わってしまった。
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