交差する激情

14/14
前へ
/70ページ
次へ
私は葱が無事ならそれでいい なんて考えた自分を恨んだ。 葱は、クラスメートが傷つくだけで耐えられない子だ。 それが、親友ならなおさら。 そんな気にするなって とへにゃっと笑う葱の親友。 満。 私はそんな二人をみて、腕を引っ張った。 「今からなんかほしいもの奢ってあげる! それともどっか行く? いいよ、なんでもいって。 私は年上なんだから、バンバン頼ってよ!」 そう言って笑う私に 葱は呆れ、満は笑った。 「いい姉ちゃんやなあ」 「だろ」 そう呟く二人を 私は気付かずに前へと進んでいった。 そんな風に。 流れていく時間を。 温かな視線を。 ただただ 寒い夜空が覆っていた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加