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翌朝。
学生鞄、真っ黒な勾玉を揺らして、私は自転車を学校の入り口近くの駐輪場に止めると、校内に入った。
昨日の嫌な感じは、今日の空からはしない。風は冷たいものの空は晴れ渡っている。
相変わらずラブレターやらなんやらで蓋が浮いている雄矢の下駄箱を横目に、私は下駄箱を開けた。
すると同時に、銀色の物が滑り落ちた。
ソレ は床に叩きつけられ
カラン、と音をたてた。
「きゃ!? な、なにこれ」
剃刀の刃だった。こんなものを入れられる覚えは…。
昨日まではなかった。
「うわ、下駄箱にまで細工かよ。怪我してねーか?」
私が刃を直視できないまま震えていると、隣から心地よいテノールの声が響いた。
確認するまでもない。雄矢だ。
そして雄矢は私の行方をさえぎるように下駄箱に手をついて立ち塞がっていた。
「本当、女子の行動力ってすげえな。剃刀の刃ってすぐに用意できるもんでもないだろ」
その態度に、私は怒りで叫んでいた。
「なんでこんな目に合うのよっ
」
「お前、昨日かってに帰ったろ。だから言いふらしてやったんだよ」
「…なっ」
「っていうのは冗談で」
雄矢は急に真顔になった。
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