14.君は。

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  奈津の声は、さっきよりも落ち着いていた。 美空くんが家に来てくれたことを知り、なんらかの心境の変化があったのだろうか。 「西尾さん……今、誰とも会いたくないなら、このままでいい。だから少しだけ……僕の話を聞いてほしいんだ」 美空くんは、昨日の俺と同じように、手を扉にそっと置きながら、優しい口調で話しかけた。 ……どうしてだろう。 やっぱり、美空くんの声は……どこか懐かしい。 「西尾さん、僕ね、三週間前くらいかな……自殺しようと思っていたんだ」 .
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