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俺はソラの背中にそっと手を触れ、奈津にはできる限りの笑顔を見せた。
「お兄ちゃん、無理よ。かずくんはそう簡単に話してくれないと思うよ」
「……大丈夫。俺、あいつの唯一の弱みを知っているからさ」
「弱み……?」
奈津はかずの弱みが何なのか分からないようで、きょとんとした顔で俺を見ている。
俺はベッドから立ち上がり、学習机の引き出しを開けた。
引き出しの中には、役割を果たしきれていないあるものが入っている。
それは、ある写真が飾られた木製の写真立てだ。
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