206人が本棚に入れています
本棚に追加
俺たちは仏間で、かずの帰りを待っていた。
かずのおばさんはリビングかかずの部屋を案内してくれたけど……今日は、この仏間でないと意味がないんだ。
この仏間には、まだ新しいお仏壇があり、そのそばには、まだ若い男性の写真が飾られていた。
部屋に漂う、お線香の匂い。
この場所でこの匂いをかぐと、彼の死を実感して寂しくなる。
かつて俺の親友だった、伊川篤史の死を。
「そっか。それで……話ってなにかな、勇太くん」
かずはカバンを畳の上におき、テーブルの周りにあるざぶとんの上に座った。
俺たち三人も並んでテーブルの近くに座っていたため、かずと向かい合う形になった。
.
最初のコメントを投稿しよう!