16.兄と弟。

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  俺たちは仏間で、かずの帰りを待っていた。 かずのおばさんはリビングかかずの部屋を案内してくれたけど……今日は、この仏間でないと意味がないんだ。 この仏間には、まだ新しいお仏壇があり、そのそばには、まだ若い男性の写真が飾られていた。 部屋に漂う、お線香の匂い。 この場所でこの匂いをかぐと、彼の死を実感して寂しくなる。 かつて俺の親友だった、伊川篤史の死を。 「そっか。それで……話ってなにかな、勇太くん」 かずはカバンを畳の上におき、テーブルの周りにあるざぶとんの上に座った。 俺たち三人も並んでテーブルの近くに座っていたため、かずと向かい合う形になった。 .
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