- 第一節 孤独 -

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 そりゃそうだよね。どう考えたって正当化した方が楽だもん。自身を貶める現実を『否定する』どころか、それを逆手にとって、『感謝』という形で自らを美化すらしてしまう。本当に、人間って生き物は素晴らしい。まったくもって素晴らしい。素晴らしすぎて涙が出そうだ。…もちろん、理解、自覚した上で感謝するのであれば“美化”とは違うから問題はないと思うけど。  …「動物や虫と人間を一緒にするな」って?虫の命より人間の命の方が重いの?それは私達が人間だから?それとも虫より知能が高い動物だから?  なら貴方と私の命の重さが同じだと何故言えるの?「同じ人間という種族」というだけで、虫と人間が別物であるように、私と貴方は全くの別物なのに。知能が命の重さを決めるというのなら、私の方が頭が良ければ、貴方の命は私より軽いの?  殺人犯に対しても同じことが言える?「私と貴方は同じ人間だから命の価値は同じです」って。自分の家族が殺されてもそう思える?自分がどんなに社会貢献しても、連続殺人鬼と命の価値は同じですって?  もし言える人がいたら笑っちゃうね。
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