- 第一節 孤独 -

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 命の価値なんて“付加価値”で決まっちゃうんだよ。嫌な奴より良い人が好き。ブサイクよりイケメンが好き。貧乏人よりお金持ちが好き。肩書きだろうが、外面だろうが、内面だろうが、物的にだろうが…他人からどれだけ必要とされているか…その最終的な総量がそのまま、その人の命の価値になっちゃうんだよ。  云千万人から、ちょっとずつだけ好かれているアーティスト。身内や友人から、この上なく愛されている一市民。肩書きに群がられているだけの、政治家。印象の上でのプラス、マイナスは関係ない。とにかくそれが、その人の命の価値。誰がどの程度の“付加価値”を持っているのか、数値化して比べる術はないけどね。  この世は平等じゃない。唯一、不平等こそが平等に与えられている。そんな世界に、私は負け組として生まれ落ちた。幻でも被害妄想でも悲観でもなく、それが紛う事なき“現実”なんだ。
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