- 第一節 孤独 -

8/8
前へ
/109ページ
次へ
 ふと顔を上げると、辺りは真っ暗だった。孤独感が一層募る。淋しくてやりきれず、私は人気を探して歩き始めた。  水田では蛙が鳴き、そよぐ風に山は鳴き、草花は踊る。…田舎の夜は暗くて、淋しい。淋しさを紛らわす娯楽が、音が、外には無い。  家に帰ってみようか…少しは心配してくれていたりするのかな。  帰路についた私の、そんな仄かな期待は、呆気なく裏切られるところとなった。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加