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涼谷 怜音(すずたにれおん)は私のクラスのちょっとした問題児だ。 派手としか言いようがないピンク色の髪と地なのか紛い物なのかは判別できない、薄く緑がかった青い色の目。 前髪は適当にピンで止められ、それによって露わになっている耳はピアスだらけ。もう片方の耳も同じく。極めつけとでもいうように着崩された制服はどこのモデルかと言いたくなるほど似合ってしまっているから質が悪い。 普段おっとりと間延びした口調で私に絡んできてからかったりしてきたりする反面、一度暴れ出せば手がつけられないほど暴れ、誰も止める術をもたないほどだとか。 それに非常に下半身がだらしなく、頻繁に寮にセフレを連れ込み、寮に限らずとも空き教室などでも事をしていたりもすると聞く。 …まぁ、一年次に引き続いて二年の担任へと上がり、他校に移動が決まった教師から引き継いで彼の担任になった私は一度もそんな場面に出くわした事がないので何とも言えないのだが。 先に述べたものもその先輩教師からの受け売りだしな。 実際に見たわけでもないのに、自分の受け持つクラスの生徒を疑うのもどうかと思うので私は大して気にせずに彼を他の生徒と同様に扱うようにしている。 なので注意してもなかなか染髪を止めず、やたらとスキンシップが激しい困った生徒、というのが彼に対する私の認識だ。 あまり変わらないではないかと言われてしまえばその通りなわけで何も言えなくなってしまうな。 「せんせぇー?なに難しい顔してんのぉ?」 ぼうっとしていたら彼はん~?と私の顔を下から覗き込んで尋ねてきた。 デカい図体をわざわざ屈め、いたずらを企んでいるかのような意味ありげな顔をして尋ねてくる彼の様子は、私にはまだまだあどけなさが残っているように思えて仕方がない。  
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