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篠は魘されていた。 暗い闇の中、周りにはつかず離れずで歪な形をした異形の者たちがいる。 直視することを躊躇うほど醜いが、その者たちが浮かべるのは皆怯えや同情のような眼差しだ。 そんな者たちの目に晒された場所で、冷たい地面に転がされ何度も何度も化け物に犯される夢。 初めは後ろから抱きすくめるようにそれは篠の身体に覆い被さって、片手で篠の頭を床に押し付けもう片方の手で腰を無理矢理上げさせるような獣同然の体位をとらされ激しく貫かれ。 その次は体に手をかけられたと思った瞬間、いきなりぐるんと体を回され正面で向き合うようにされた。 なんの前触れもなく突然体位を変えられた篠はその衝撃で為す術もなく達し、そして達した余韻に体を震わせながらなにをするんだと向き合った相手を睨みつけ文句を言おうとして自分を犯す者の顔を確認した瞬間、 思わず悲鳴をあげた。 死人のような白い肌、白目がない代わりに黒く塗りつぶされたような目。赤い瞳。 全てのパーツが整い、美しい顔をしていたが明らかに人間ではない。 しかしその化け物は篠が恐怖に出した悲鳴に機嫌を良くしたのか、すっと目を細めて口端を微かに上げるとくつりと笑い声を小さくたてた。 『俺が怖いか?人間。しかしその割にはさらに感度が上がったようだが、そういう性癖でも持っているのか?』 からかうように首を傾げて言いながら、化け物は篠が感じていた場所をわざとらしく突き上げ、たまらず篠は声をあげ目の前にあった化け物の身体に縋りついた。 こんな意味のわからない奴なんかに縋りつくなんて。 本当は嫌で嫌で死にたくなるくらいに情けなかった。だが、それを吹き飛ばすほど身体が痺れ、脳が思考することを拒んだ。 『ふん、言い返す事もできないか。他愛もないな…。これではせっかくの儀式も興醒めだな。』 喘ぐ合間に聞こえてくる化け物の言葉に、篠は反論しようと口を開きかけるも激しく攻め立てられそれもできない。 その間にも化け物は言葉を紡いでいく。  
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