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『しかし貴様は運が良かったな。常ならばこんなまどろっこしい事などせずに心臓を喰って生き人形にしてやるところだぞ?』 「う、あっ…ぁあ!」 『だが、今回はお前の前に二人ほど喰っていたからな。腹が満たされているのにただ壊すのも面白くない。だからお前は抱いてやる事にしたんだ。』 信じられない話を聞かされ、思わず視線が化け物の口元にいく。 僅かに開いた唇から口内にズラリと並んだ人より鋭い歯と牙がギラギラと妖しく光って見え、篠は知らず知らずのうちに息を詰めた。 そんな篠の視線に気付いてでもいるのだろうか、化け物は〝見た目はあまりよくなかったがそれなりに美味かったぞ〟と篠の耳元でクスクスと笑いながら告げるとパクリと耳に柔く歯を立て、篠はビクリと小さく体を跳ねさせた。 『ククッ…こちらの世界の愛玩動物には劣るが人間もそれなりに可愛げがあるものだな。お前がどんな魔物になるか楽しみだ。』  
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