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人がいるという事に安堵し、知らずと強張らせていた表情が弛んだ。
しかしそれと同時にうずくまっている相手もまた服を着ていない事に気付いた。
…もしかしたら自分と同じ目に遭ったのかもしれない。
「おい!大丈夫か!」
そう考えが行き着き、慌てて走り寄り尋ね彼の肩を掴んだ。
「ッ?!」
しかし触れた瞬間、熱いと感じてしまうほどの冷たさに驚いて手を離した。
思わず自分の手を見てしまう。
そしてハッと彼に目を戻した。
うずくまっていたはずの彼は立ち上がっていた。
立ち上がった際の音もしなかった。
気配に敏感なはずの自分が、気付かなかったなんて有り得ない。
『………ぁ、』
俯いた彼の口から空気が抜けたような、ひゅう、という音と声と言えない音が漏れる。
「テ、メェ…はなんなんだ……。」
アイツの仲間か、という問いはできなかった。
いつの間にか浮かんだ汗が額から顎へと滑り落ちる。
得体の知れない何かと対峙した篠はなにも言えないまま、暫く無言でそれを睨みつける。
不意に目の前にいるなにかからパキッと小気味よい音が響いた。
パキッ、コキッと音は続いていく。
それに比例していくようになにかの体も揺れた。
次第に音と揺れは激しくなっていき、手が、首が、肩が跳ねる。
「やめろ…」
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