248人が本棚に入れています
本棚に追加
頭が、痛い。
この先は見たくない。そう思うのに目を離せない。
『う゛、……ァ゛あ゛ぁあ゛ア゛ァあ………』
「やめろ、嫌だ!!消えろ!頼む、頼むから……!」
苦しげな化け物の声を掻き消そうと言うように叫んだ。
「ちくしょう…っ俺が何をしたってんだ…!」
頭が、頭が痛い。頭が…熱い、腹が、身体が
ぐるぐると世界が回るような感覚を感じ、ついに耐えきれなくなった篠は目を両手で覆い、その場にしゃがみ込んだ。
『きは、ハ、あははハぁ…!』
化け物が、笑っている声が聞こえる。
いや、
笑っているのは
俺だ。
「ははっ、ははは!ぁははははははははァ!」
なんで、どうして、と頭で思うのに喉が勝手に震え、締まり切らなくなった口から涎液が、目から涙が、零れ落ちる。
『なぁ、こっち見ろよ。』
意識とは別になった身体に化け物が声をかけた。
嫌だ。見たくない。見せるな。やめろ嫌だ。
『なぁ…見ろって』
もう一度かけられた声に視界を塞ぎ、隠していた震える手が、ついに剥がれ落ちた。
『やっと見たな。』
最初のコメントを投稿しよう!