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「息はあるか、糞婆」
「黙りなファッキンガール」
挨拶をノック代わりに、蔦がこの家は俺のモノだと言わんばかりに絡み付いているワイルドな家にお邪魔した。
出迎えたのは初見さんは絶対に熊か何かと見間違える様な筋骨隆々、村ではマッスルオブマッスルと呼ばれた人外……げふんげふん、お婆ちゃん。
【赤ずきん】の狼はよくこんなお婆ちゃんを食い殺せたものだと本気で思う。ま、こっちは偽物の物語。本家がムキムキだったとは限らないか。
あとファッキン言うなババァ。
「……んん? この匂いは……そんな危ないモノどうするつもりだい、ファッキンガール」
「相も変わらず獣染みた嗅覚よね、糞婆」
「答えになってないよ、ファッキンガール」
「ファッキン言うな糞」
「糞言うなお婆様と呼べ」
嫌だねー、とべろべろバー。
チッという舌打ちを空耳と断定し、ドでけぇベッドへ向かう。
「おいおい、何する気だファッキン」
「せめてガールつけなよ、糞婆様」
なんて失礼なババァだと内心毒づきながら布団の中に危険物をぶちまける。あと村長から戴いた熊のヌイグルミも中に投げ込んで布団をかける。
ウヒヒ、これなら誰が見てもお婆ちゃんにしか見えない。馬鹿な狼も見抜けやしないだろう。お婆ちゃん獣臭するし。あのヌイグルミ熊の毛皮そのまま使ってるし。
「……人ん家壊すつもりかい、ファッキンレッド」
「もはやそれ凄い悪口よね、糞ババァ」
「お婆様と呼べ、お婆様と」
しつこいわよ、とべろべろバー。
チッという舌打ちを幻聴と断定しお婆ちゃんを連れて外へ出る。
……ここには確か狩猟道具と寝具しかなかったはず。どっちも私の家に置いてある物だし……ぶっ壊しても大丈夫よ、問題ない。
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