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「マジで春?死んだんじゃねーの?」 一番驚いてるのは一馬だった。 そうだよね。中三の時に死んだ理由まで知ってたんだもん。 まさか、ガセネタだったとは思わないよね。 「でも十和田君はここにいるよ?死んだなんて嘘だったんだよ! 良かったねぇ、また会えて」 瞳をうるうるしながらゆかりは春に笑む。 春もゆかりに笑みを返した。 「うわぁ、久々の十和田君スマイルだっ」 懐かしげに春を見やるゆかりの瞳から、ポロポロと涙が零れた。 ゆかりは本当に感情豊かだなぁ。 感情豊かで、自分に素直で、可愛い。 それは私にはないもので、羨ましく思う。 でも、真似できないんだよなぁ。 恥ずかしいとか少しはあるけど、主だった理由は、性格。これ一点だと思う。 私への周りからの評価は無愛想。よく言えばクール。 ただの人見知りでうまく気持ちを表現できない天の邪鬼。 そう評したのは一馬だ。 大きなお世話だ、と言われた当時は憤慨したけど、今は言い得て妙だな、と思ってる。 「本当に春海?」 「まあね」 「……性格変わってね?」 「ぶ…っ」 つい吹き出しちゃった。 「あずと同じ事言うんだな」 春は少し困ったような笑みを浮かべて一馬を見た。 「あー、悪い。春海の顔だわ」 笑み方で春認定しちゃうって、どうよ。 けど、わかる。 春の笑み方は独特の雰囲気を醸し出す。 なんて言うか、柔らかくて、それでいて近寄り難くて。 他の女子は『王子様』なんて言ってたなぁ。 勉強もできたしね。 因みに一馬は運動馬鹿だから『騎士(ナイト)』ゆかりは『姫』。 なんて陰で言われてた。 私の称号もあるんだけどね。あまりいい称号ではないので触れない。 「もうこの四人が揃う事なんてないと思ってたんだけどな」 「ホント、ホント!十和田君と、もう会えないと思ってたからね」 「プリンス、プリンセス、ナイト、ビショップだっけ?」 「あら、私はプリンセスからウィザードになって、一馬は武道家で十和田君はナイトになったのよ?最終的には」 「そうだっけ?」 「そうよ。パーティにプリンスとプリンセスはおかしいとか言われて、勝手に付けられたのに変えられたのよ」 「お前、よく覚えてんなぁ」 「当然。勝手に上げて落とされて屈辱的だったもん」 「はは、ゆかりらしいな」 一馬とゆかりで盛り上がってる中私は普通に、春は笑みを浮かべて。 本当に小学生に戻ったような気がした。 .
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