3/27
前へ
/161ページ
次へ
春とは保育園の頃から一緒だった。 て、言っても同級生の半分が同じ保育園だから、クラスの半分くらいは皆そうなんだけど。 保育園での記憶はあんまりない。 だって、物覚えが良い方ではないから。 でも、保育園では年中、年長と同じクラス。 小学校では、二年生から五年間同じクラスだったから、十和田春海の名前は流石に覚えているし、そこそこ仲も良かったと思う。 少なくとも私はそう思っていた。 だって、一番良く話す男子は春だったから。 でも、違ったんだね。 春はいなくなるまで私に何も言わなかった。 後から聞いた話によると、仲の良かった友達の何人かには話していたらしい。 その中に私が入ってなかったのは寂しいと思ったけれど、それは私の気持ちであって、春が同じとは限らない。 だから、裏切られたと思うのは筋違い。 て、わかっていても、その頃の自分はまだまだ子供で、そんな事を思えるような柔軟さはまるでなくて。 『十和田春海』の名前は私の嫌いな人リストの上位に記された。 勿論、脳内のだから誰にも秘密なんだけどね。 .
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1180人が本棚に入れています
本棚に追加