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「空澄!呼ばれてるぞ!」
……くそ一馬。後で覚えておきなさいよ。
一馬のせいで完全に私に視線が集中してる。
その間も美穂と葉月は私を呼んでいた。
「ほら。早く行かないとあいつらの声枯れるぞ?」
春に促され、仕方なしに美穂たちの方へ足を向けた。
「春は平気?」
「何が?」
「注目されて」
「はっ。そんなの気にするのあずくらいじゃね?」
そんなわけない。
でも、春も一馬も平気な顔して私と歩いてくれている。
だから、そうなのかも…。
「俺の名前連呼されたら恥ずかしいけどね」
「あー、わかるわそれ」
春の言葉にうんうんと頷く一馬。
少しだけ、ほんの少しだけ殺意が芽生えた。
三人して美穂達のもとへいって、結局全員でストラックアウトを楽しんだ。
倒したパネルに応じてもらえる景品。
四人が同じ物をもらった中、私一人参加賞を頂きました。
その後も五人で色々回って、部活の催し物で忙しそうにしていたゆかりにも会いに行って、初対面の美穂達と挨拶を交わしたりして、楽しい時間を過ごした。
そして、この学校の名物であるプリコンを見るために今は講堂にいる。
ゆかりに前以てその人気を聞いていたから早めに講堂に入っていた。
各学年に一人ずつ選ばれる『プリンス・プリンセスコンテスト』略してプリコンは、周辺では人気のあるイベントで、早めに入ったにも関わらず、プリコン目当てに待つお客さんで席はすでにいっぱいだ。
「凄い人だね」
「ねー、まだまだ入ってくるよ」
運良く席を確保できた私達は、談笑しつつそこで待っていた。
ゆかりは私達と一緒にいない。
一馬や春は係で忙しいと思っているけど、私は本当の理由を知っている。
けれど秘密。
心の奥底でほくそ笑む私を春が見つめていた事に、うきうき気分の私は気が付かなかった。
そして、霧島女子高等学校文化祭のメインイベント、プリンス・プリンセスコンテストが始まった。
「…凄い盛り上がり」
「何か女子高特有の盛り上がりだよね」
あ、美穂達が若干引いてる。
「宝塚みたいなノリなんだろうな」
「んー、て言うより擬似恋愛だろ。アイドルとか漫画とかにキャーキャー言ってんのと同じ感覚。本物の恋愛と違って自分が傷つかないから片思いのいい部分だけ楽しんでるんだよ」
小馬鹿にしたような声音の春が珍しくて、私は凝視した。
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