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振り返った春の表情は硬い。 何でそんな顔するの? それを口にする前に、春は言った。 「多分、…違うな。絶対驚くだろうけど、何も訊くなよ。順番に説明してくから」 解らないことだらけなのにまだ増えるのか、と思ったけどとりあえず頷いた。 春はそれを確認して、玄関に向かう。 そして一緒に中に入った。 無言の春に着いていく。 通されたリビングは生活感を感じられない程綺麗だった。 「おばさんは?」 「いない」 つまりは二人きり、ということ。 その瞬間、私は落ち着かなくなる。 「質問は後、て言ったろ?」 ……そうだけど。 苦笑する春に、私は肩を竦めた。 「部屋、行くか?今、飲み物用意するから」 「飲み物はいいよ。早く春の話聞きたいから」 そう伝えると春は黙って私を促した。 春の部屋は二階にあって、階段を上ってすぐにある。 私は昔と同じように、勝手に階段を登って春の部屋へ向かった。 「懐かしいなぁ」 後ろからついてくる春はなにも言わない。 だから、私もお構いなしに部屋の前まで来ると、そのままドアを開けた。 そして、そこで固まる。 .
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