第壱話 憎悪、そして不幸

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少し冷えた、曇天が空を包んでいる、そんな朝。 部屋を騒音に包み俺を夢という天国から引き離した悪魔……アラームが俺を起こす為に今日も殺人的騒音を無償でプレゼントしてくる。 「ん…………まだ、寝れる。」 いつまでも鳴り続ける悪魔に俺は安眠するため、二度寝というコマンドを実行。手が届かないので仕方がないのだよ。 ……まぁ結局、負けてしまったのだが。 敗者の気分と多少の眠気を味わいながら仕方なく起きると、隣の家から悲鳴が聞こえた。 朝から騒がしい……チッ。 「うわぁぁぁぁ!?美由<ミユ>!?なっなんで僕の布団に入ってるのー!?」 「んむ……眠いのよ……ん?っ!?きゃぁぁぁぁぁぁああ!!!」 女の悲鳴の後になにかを叩く乾いた音。今日は由美の妹か……相変わらず五月蝿いんだよ。毎朝毎朝、イラついて仕方がない。ぶち殺してぇなぁ……引っ越したい……。 前なんてこの茶番のせいで起きてしまうことが多々あった。しかし、そのことでは文句を言えない。最初は文句を言いに行ったんだが、もう行きたくない。 周りの取り巻き共がうるさいんだよなぁ。あいつら日本語理解できてないんじゃないかと思われるほどの日本語力で、喋るのさえ煩わしいし。 金持ちの権力を使われたら堪らんよ、一般家庭の俺には。 まぁそんなこんなで女子に守られている神城に、男子はほとんど関わろうとはしない。例外がクラスに一人だけいるけど、あれはラリってるからノーカンだ。 女子といえば、何故か由美は神城を守るとかなんとかではヒロインらしいことはしないとは聞いたことがある。 ……今更興味は湧かないが。 とりあえず、さっさと家を出る準備をしなきゃな。遅く出て神城と鉢合わせるのは嫌だし、たまに待ち伏せとかしてるしさぁ……。そろそろ警察を呼ぼうかな。 と、ぼんやり頭で考える。
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