第壱話 憎悪、そして不幸

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学校の制服に着替え、一階のリビングに行き朝飯のトーストで焼いた食パンに近所のおばさんから貰った賞味期限ギリギリのオレンジジャムを塗りたくり、口の中に詰め込んでいく。正直、オレンジジャムは外道だと思うんだがな。 朝飯を食べ終わったので洗面所に行き、歯磨きと顔を洗い家を出る。 「いって来ます。」 一人暮らしなので返事は帰ってくるはずもなく、足早に玄関の扉をくぐる。もともとはおじさんとおばさん、そして居候の俺で住んでいた。少し昔に事故で二人は死んでしまい、この一軒家を俺が使わして貰っている。 おじさんとおばさんとの思い出がたくさん詰まった家なので、絶対に、絶対に手放したくない。 しかし、流石に我慢の限界が来そうだ。 「蒼!おはよう!」 「遅いわ!何分待たせるのよ!!」 「蒼、おはよう。」 上から神城、美由、由美。 待ち伏せというめんどくさいパターンは警戒していた筈なのだが……眠気がまだ抜けていなかったようで、そんな自分にイラつく。 とりあえず、言わせてもらいたいことを言わせてもらおう。 「なんでいんの?」 「なんでいんのって……蒼と一緒に登校しようかなぁって。」 ここまではいつもどうりだ、神城が答えて、美由が睨み、由美が苦笑いをする。そして俺が妥協する。でも、限界だ。 「……お前らと一緒に登校なんて拒絶反応が出るほど嫌なんだけど!?もういい加減にしてくれよ!!解放してくれ!頼む!!」 土下座をする勢いで頭を下げながら言う。もうやめてくれ、構わないでくれよ……っ。関わりたくもないんだ、もうキツイんだよ……っ!。 ほとんど土下座状態の俺に呆然とするあいつら。最初に硬直から解けたのは美由で、俺を……。 「な、なによその言い方!待ってあげてたのにそれって……っ!」 俺をキレさせたのも、この糞女だった。 なんだそりゃ、なんなんだよそれ。ゆっくりと、土下座の姿勢から立ち上がる。 「……おいクソビッチ、待ってあげた?あげただと?待ってくれなんて一言も言ってないのにそれは無いだろ、なぁ。姉の由美は大変だな、こんな糞野郎共と一緒に暮らしてさ。」
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