第壱話 憎悪、そして不幸

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「今まで、なにも言わなかったのに……そんな酷いこと言わなかったのに……。」 俺の言葉を聞いてショックを受けた由美は、ついに泣き出した。しかし、それにも反応を示さない不出来なヒーロー。そんなヒーローをちょっとだけ睨み、糞女がつっかかってくる。 「なに泣かしてんのよ!最低ね!あんた!!」 由美の台詞の方が最低だと思うのは俺だけか?まるで不満も言ってはいけない、くちにしてはいけないようじゃないか。まるで奴隷扱いで、笑えるね。 それに。 「……あの夜のこと、知っていたくせに。」 だが聞こえなかったようで、反応はみられなかった。 「……しょうがないな、教えてやるよ。俺の左目は視力が無いのはあの事件のせいだ。失明したのは確かに、俺のせいだろうな。」 それを聞いて事件の事を本当の意味で理解している二人は分かりやすく反応し、表面しか知らない美由はそれがどうしたという態度。 「やっと認めたの?」 はぁ……やっぱりバカだな、バカ過ぎて吐き気を催してしまいそうだ。だから話すのさえ嫌なんだ、気持ち悪い。対して、聡明な由美は俺がこれから言わんとすることが分かったのか、やっとこちらに顔を向けて来た。 「この失明の原因は神城を庇ったからで、今そいつが無事なのは俺が犠牲になったから、なのに!」 「やめてっ!やめてよぉっ!」 「そいつはあの事件をすべて俺のせいにしやがった!悪いのは僕じゃありませんってな!!」
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