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「よし、じゃあ終わり。一年はボールかたしてな」
『ハイ!!』
「んじゃ、解散」
『ありがとうございました!!』
朝練の時間が終わり、解散の合図が出たから帰ろうとしたら、一年生が嘆く声が聞こえた。
「た、高橋先輩!一年の仕事なんでやりますから!!」
「いいよ。俺、残って少し練習するから。3ポイントが入るまで、やるから」
「でも……」
ったく…。一年困らしてどうすんだ、アイツ。
「帰っていいよ」
「新藤先輩!でも……」
「一年教室遠いし。それに桜木って、1学年担当だろ」
桜木というのは、この学校の生活指導。
ゆるーい校則、雰囲気とは全く似合わない、今時珍しいくらいの熱血教師。
特に時間に厳しく、一秒の遅れも許さない。
この学校を立て直そうと、自ら1学年に志願したらしいが、そんなことは全くの無意味だと、2・3年は嘆息している。
あれで1・3年の数学担当だというから、人間、頑張れば何にでもなれると俺は思う。
「二年は教室近いし。鍵は俺がやっておくから」
「でも、これは一年の仕事だって、先輩方が…」
「…じゃあ先輩命令。教室戻れ」
「え…?」
「このまま待って、遅れて部活停止になるのと、一回仕事しないこと。
どっちが先輩に迷惑がかかるか分かるよな。
言い方キツイかもしんないけど、分かったら教室行け」
「…ハイ。すみませんがお願いします」
「おぅ!お願いされた」
「ハル…」
ちょっと気まずい空気になったのを、ハルがかき回してくれた。助かった。
…問題は、あのクソガキだ。
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