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「着いた…大きい」
何度見ても大きなこの「成咲高校」〈ナルサキ〉
五階立てで二階のプレハブ付き。しかも、中が広い。去年塗り替えたらしくピッカピカ。
あたしの周りにはあたし同様に新入生達がわいわい騒いでる。
あ、あたしクラス見てこなきゃ!
あわてて新入生達が集まっているクラスが書いてある看板を見に行くが、あまりにも生徒が多すぎて看板がよく見えない。
その場で軽く跳んでみるも、駄目だった。
ガクリ、肩を下げる。
あーあ、人が少なくなるのを待つかなぁ…
あたしは近くにあったベンチに腰を掛ける。
何もする事がなくてあたしはぼーっと青空を眺めた。
雲が何故か美味しそうな食べ物に見えて思わずよだれが出そうになったのをくい止めた所に無造作の黒髪で背が高く顔が綺麗な一人の男があたしの前で止まった。
しかもその男はあたしの前に立つ癖に何もしゃべりゃしない。
な、なんだろう…?
あたしに用でもあるの?でもあたしこの男知らないんだけど……。
考えれば考えるほど分からなくて、あたしから喋った方がいいのかと不安になる。
軽くパニック状態。
男は綺麗な漆黒の瞳であたしをじっと見てる。
一体なにさ……ま、まさか………え? うそ?…
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