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「それならそうと、真正面から言えばいいんだ。そうやって心とは裏腹な態度を取っていたって、敵が増えるだけだぞ?ほら、何か言いたいことがあるなら今先生に言ってみなさい」
そういえば、学校の北側にはもう随分と行っていない気がする。
きっと紙パックやらコンビニ袋やら空き缶やらが盛大に散らかっていることだろう。
やばい、考えただけでも鼻血出そう。
こうしちゃいられない。
早く行きたい、早く師匠と一緒に奉仕活動がしたい。
「おい、聞いているのか裏木!」
「はい!?ああ、何?全然聞いてなかった。もう帰っていいのか?」
「く、お前という奴は。大人を馬鹿にするんじゃない!」
「ったく、いい大人がでけぇ声出してんじゃねぇよ。もういいか?部活行きたいんだけど」
「もう知らん。勝手にしろ!」
「おう。んじゃえ~っと……こういう時は『お疲れ様でした』でいいのか?」
分からないことは先生に聞くものだと思ったのだが、残念ながら先生はムスッとしたまま答えてくれなかったので、鞄を持って職員室を後にした。
この学校の教師は、不良には何の指導もしないが、そうでない生徒には徹底的に厳しくする奴が多い。
その境目のようなところにいる僕も、やはり徹底的な指導の対象だった。
僕なんかに無駄な指導するくらいなら、まだ更生の余地がある不良にその熱意をぶつけてくれれば良いものを。
僕には師匠がいる。
僕に勉強以外のことを教えてくれるのは師匠だけでいい。
師匠さえいれば、僕は前を見ていられるんだ。
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