背中曲がってるぞ

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                                 「それで、今回は教師にどんな暴言を吐いたんだ?」 師匠は、僕が絶対に暴力を振るわないことを知っている。 「暴言なんて吐いてねぇよ。ただ、問題解る奴手挙げろって言われて挙げる奴がクラスにいなかったくらいでいきなり怒鳴り出すからさ。『うるせぇ』って言ってやっただけだよ」 「それだけで職員室呼び出しか。よほど日頃からの態度が悪いんだな良太は」 「態度が悪くたって成績良けりゃ問題ないだろ。その問題も結局答えたし」 「ははは、良太のそういうところは割と好きだな」 声を上げて上機嫌に笑うと、軍手と二人分のトングとビニール袋を持ち、師匠は部室の外へと歩いて行った。 師匠は僕を誉めたりはしない。 ただ、こんな僕のことを好きだと言ってくれる。 好き。 師匠の背中以外目指す場所の見えない僕にとって、その言葉は最上級の肯定のように思えて、どんな言葉よりも嬉しかった。 「どうだ、もう一通り終わったか?」 一時間ほど校内を徘徊し、お互いにパンパンになったビニール袋をぶら下げて僕と師匠は合流した。 「まぁ、今日のところはこれくらいで満足かな」 奉仕活動は所詮自己満足。 であるからして、終了の判断基準は自分が満足したかどうかしかない。 「そうだな。そろそろゴミ捨て場にでも行くとするか」 「おう、お疲れ様」 日が落ちかけ涼しげな風が吹き始めた放課後、僕と師匠は並んでゴミ捨て場へと向かった。
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