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僕は家の外ではよく不良だとか呼ばれている。
僕自身そのつもりはないし、日頃の行いはどちらかといえば真面目で善良な方だと思う。
だけど、そんなことは事実ではない。
真実は真面目で勤勉なのだとしても、教師やクラスメイトや街ですれ違った見知らぬ人からの認識が"不良"であるなら、事実上僕が不良であることは否定できない。
別に僕はそれで構わないし、たかが一年ちょっとの無遅刻無欠席や課題提出率十割なくらいで誉められるのも癪に触る。
だからといって、今のこの状況を甘んじて受けるのも納得がいかない。
「おいぃ、どうしたよ不良劣等生くん?不良劣等生くん、そんなに悔しそうな顔するくらいならやり返してみろよ。なぁ不良劣等生くん?」
不良劣等生。
同じ不良である残念な方々から僕が一方的に授かった残念なニックネームを連呼しながら、三人組は見事なコンビネーションで僕をいたぶる。
「ったく、こいつホントに不良なのかよ?こんだけやられてて抵抗もしないじゃねぇか」
「だから不良劣等生なんだよ。俺こいつと同じクラスなんだけどさ、こいついつも教師に反抗ばっかするし話しかけた奴片っ端から睨みつけるくせに、今まで無遅刻無欠席なんだぜ。成績もかなり良いらしいし、不良なのか優等生なのかわかんねぇよな!」
「ぶっははははは!何だよソレ!?逆に馬鹿なんじゃねぇの!?」
「不良やりきる度胸もねぇくせに、偉そうに俺らに睨み利かせてんじゃねぇよ!」
「うは、今の痛そ~」
流石は不良優等生。二人がかりで後ろから羽交い締めにして一人が殴り続けるだなんて、なんて頭の悪い有効な手段だろうか。吐き気がする。
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