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ぼんやりとする頭で、黒板消しをどう使ったら最も綺麗に黒板を掃除できるか考えた。
やはり、こまめにクリーナーを使って黒板消しにチョークの粉が付着していない状態で拭くしかないか。
あれ。どうせこのまま明日の朝まで黒板使わないなら、いっそ雑巾で水拭きしてしまえば簡単に綺麗になるんじゃないだろうか。
朦朧とする意識のせいか、最も邪道な答えを導き出しそうになってしまったところで、三人組の荒ぶった声が僕を現実に引き戻した。
「ああ?関係ねぇ奴が口出してんじゃねぇ。ブッ殺すぞ!」
どうやら、騒ぎを聞きつけ第三者が駆け付けたらしい。
そりゃ、これだけ喚き散らしていれば当然か。
僕が倒れた時凄い音したし。
「おいおい、まさかあれだけやかましく騒いでおきながら、誰も口出して来ないとでも思ったのか?見た目通りの残念なおつむだな」
横たわったまま起き上がれない僕の視界には、単身教室に乗り込んで来た生徒の足だけが映った。
この凛とした声と、膝上十五センチ程度のミニスカートを履いていることからして、驚くべきことに助けに駆け付けてくれたのは女子生徒らしい。
因みに、紺のスパッツだった。
「おい、今すぐ謝ったら特別に許してやってもいいぞ。良かったな、女で」
「謝る?何をだ?ああ、もしかして見た目には自信があったのか?悪い、そのムラだらけのダサい金髪はギャグかと思ったんだ」
「決定!こいつと同じようにブッ殺す!」
気付かなかった、僕はもう殺されていたのか。
「おいおい、物騒だな。話し合いで解決しようじゃないか」
死んだと思うことによって身が軽くなったのか、僕は頭を押さえながら、なんとか体を起こすことに成功した。
その時初めて彼女の顔が目に入り、僕はその笑顔に唖然とした。
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