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三年生だけは一、二年生とは違い西側に下駄箱があるため、部室から鞄を取った後、一旦師匠とは別れて校門で合流することとなった。
部活の賑わいが校庭や体育館の方から聴こえる中、廊下や昇降口は放課後らしく人気が少ないこの時間。
僕は靴を履き替えたところで、目の前の下駄箱の裏側からあまり穏やかではない会話が聴こえてくるのに気が付いた。
「別にいいじゃんさぁ。メアドくらい教えてくれたって」
「え……と、いやぁ、それはちょっとぉ」
「お友達になろうって言ってるだけじゃん。ほら、俺達いたら何かと便利だぜ?ムカつく奴とかいたら締めてやるからさ」
「そんな人いないし、別にいいですって」
「何でよ?俺達じゃ駄目?どこが駄目なんだよ?なぁなぁ?何が気に入らないの?教えてくれたら直すからさ?なぁ?」
簡潔に説明すると、三人の不良優等生が結構可愛げな女の子を取り囲んでセンスがない上に質の悪いナンパをしていた。
横から覗くと、女の子と目が合った。
これはまぁ、僕としては選択肢は一つしかないわけで。
本日の奉仕活動第二弾、始まり始まりっと。
「まず、顔から直して来いよ。このガッカリヤンキー共」
あんなんでも彼らは結構真剣に彼女を口説いていたらしく、横槍を入れられたことによりかなり怖い顔で僕を睨みつけた。
ああ、痛いのはちょっと嫌だな。
「ああん?お前確か、二年の裏木だったか?不良劣等生の」
「はっ?不良劣等生?何それ?」
「あ、知ってる知ってる。矢部が言ってたぜ。勉強とか真面目に頑張っちゃって成績だけは良いくせに、何故か不良ぶってる超弱い奴だって」
「ははは、何だそりゃ?逆に馬鹿なんじゃねぇの!?」
もうそのやり取りはいいっての。
こういう奴らにはそんなにウケるんだろうか、不良劣等生。
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