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「どうでもいいけどさ、お前らみたいなのって何でいつも三人組なわけ?本っ当にどうでもいいから早く死んでくれると嬉しいんだけど」
僕のその台詞で、あっさりと今日の奉仕活動第二弾は成功を収めた。
「おい、ちょっとツラ貸せや。本当の不良ってやつを教えてやるよ」
はてさて、彼らの怒りは何発で治まってくれるのやら。
口を押えて心配そうにこちらを見つめる女の子に口パクで「ヘイキヘイキ」とだけ伝えると、僕は上っ面だけの余裕を携え、むさ苦しいダブルデートへと突入したのだった。
男四人で訪れたのはお馴染みの第二体育館裏。
排水溝を覗くと煙草の吸殻が高確率で発見できることで有名なデートスポットだ。
放課後の不良達の癒し空間であり、焼き入れに使われることは多いが告白に使われることはまずない。
折角の体育館裏だっていうのに。
「さて、と。それじゃ、誰から相手して欲しい?一応希望を聞いてやるよ」
自称不良品が指をポキポキと鳴らしながら言うと、脇の二人もニヤニヤと気持ちの悪い笑いを浮かべた。
茶髪。ピアス。気持ち悪い顔。シャツのボタン全開。派手な色のアンダーシャツ。短い足。骨格の悪そうな立ち姿。
駄目だ、三人とも特徴が似すぎていて区別が付かない。
「どうせ最終的には三人になるんだろ?めんどくせぇ、纏めて来いよ不良品共」
僕は鞄を脇へ投げ捨て、溜め息混じりに呟いた。
どうせしばらく殴らせれば満足するんだ。
師匠も待たせていることだし、ちゃっちゃと済ませてもらおう。
そんな僕の意向を、残念ながら彼らは汲み取ってくれなかった。
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