それはお前が考えろ

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   「おう、裏木か」 部室から出てきた先輩に、軽く会釈をする。 「聞いたぞ。また厄介な奴に関わったらしいな」 「ああ?何言ってんだ。西表はそっちが俺らに押し付けたんだろうが」 「そっちじゃねぇ。確かにあいつも厄介な馬鹿だが、流石にそんな無責任な言い方はしねぇよ。こないだ東雲が蹴散らしたっていう三人組の話だ」 南原先輩はドアを閉め、廊下の窓際まで歩いて壁に背を付いた。 「あいつらがどうしたって?俺はただあいつらに好きなだけ殴らせて財布をプレゼントしてやっただけだぞ?」 「今じゃもう、不良達の間でお前と東雲は有名だ。あの三人の中に、やたらと好戦的なくせに大して強くもない奴がいたろ?」 三人の顔は正直思い出せないけど、その特徴でいうなら多分最初に僕に殴りかかってきたあいつのことだろう。 「そいつが、実は三年でな。あの桐島の親友であることを後ろ盾に、弱いくせに後輩に幅を利かせているしょうもない奴なんだ」 南原先輩は、さも当然のように桐島の名を口にした。 我が校の不良の親玉、古い言い方をすれば番長のような存在である奴を知らない者は少ないくらいだが、先輩のこの言い方はきっと、僕と桐島の関係を知ってのことなんだろう。 「ふーん。桐島のねぇ。クズはクズ同士気が合うってことか」 僕は吐き捨てるように言った。 「つまり、桐島は今お前と東雲を潰す機会を窺っている。東雲がいる限り奴も手は出しにくいだろうが、ただでさえ奴はお前にも東雲にも個人的な恨みがある。せいぜい夜道には気を付けることだ」 少し影の見える笑いを浮かべ、先輩は言った。
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