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「はぁ、はぁ、はぁ、」
カンカンカン
夜中の路地に足音が響く。
俺は必死にビルの階段をかけ上がっている。
階段の下からは『何か』が追いかけてくる。
「ヤベー、追い付かれる!」
息が上がり、焦る心とは逆に足がうまく動かない。
怖い、しんどい、疲れた、
そんな言葉ばかりが頭をかけめぐる。
ガッ!!
ズザーっ
階段を勢いよく登ってきた俺は
ビルの屋上に辿り着いたとたん
つまずいて勢いよく倒れ込んだ。
後ろから追い掛けて来ていた『何か』はもう屋上に登って来ていた。
「うわぁー!!」俺はあまりの恐怖に奇声をあげていた。
必死に逃げようと這いつくばって屋上の端まで逃げる。
早く走って逃げろとは言わないでもらいたい。
腰が抜けて立てない。
だんだんと俺と『何か』の距離は縮まってゆく。
「飛び降りるか?」
いやいやいや、無理、無理
地上までは10メートル以上ある。
「ぜってー死ぬ」
後を振り向くともう目の前に『何か』は迫って来ていた。
「うわぁーーー!!」
その瞬間目の前が真っ暗になって
俺は気を失った。
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