哀れな2人

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  ある古い街の路地裏 そこには2人の男が月の光に照らされていた。 片方の男は壁に寄りかかって血を流して息絶えていて、 もう片方の男はそれを無感動に見つめていた。 そしてゆっくりと振り返って 「また、やったんだね。」 と大きな木箱の方に声をかけた。 すると、木箱の後ろから若い女性が現れた。 手には、高価そうな装飾品を握りしめている。 「またやったんだね。」 男がもう一度言うと、女性は震えながら頷いた。 「わ…わたし……。」 と女性がなにかを言おうとしたが、男は微笑んで 「早く行って。他の誰かが来る前に。俺はこの人をどうにかするから」 と言った。 しかし、女性は首を横に振る 「大丈夫。バレないようにするから。だから……行って。ここに2人でいたらバレてしまうよ。」 と言ってからもう一度「大丈夫」というと、女性は頷いて走っていった。 そして、男は死んでいる男を背負うと、女性が走っていった方向とは違う路地裏を歩いていった。 女性は重い精神病を患っている。 ある時、いきなり被害妄想に取りつかれると、周りにいる者が皆敵に感じてしまう そして、なにかされたと思い込んだり、 盗まれたと思い込み、 酷い時にはこの男のように殺してしまうことがあった。 男はそんな彼女を守りたかった。 彼女は何も悪くないのだ。 男は彼女を愛していた だから、絶対に守り通したかった。 男が複雑な路地裏を出ると、港にでた。 男は辺りに人影がないのを確認すると、男は死体を海に投げ捨てた。 男はそのまま海の方を見ずに、早足で去っていった。 被害妄想に取りつかれて、人殺しをする女性 その女性を守るために死体を捨てる男 さて、どちらが罪深いのでしょうか……。  
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