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20XX年、8月。
宮崎県延岡市。
とある住宅地に、一人の男が歩いていた。
男はポロシャツにトレーナーズボンといったスポーツマンスタイル。
見た感じ20代後半から30代前半に見える。
「ふぁ~、延岡は日向君だけだな。それよかトイレはどこだぁ?」
と、トイレを探していたトコに公園が見えた。
「汚ねぇトイレだな…」
ドンッ!
「?」
ドンッ!
男は尿意を忘れて音の方に注目していた。
ほぅ……軟球で壁当てね…。
少年は中学生くらいだろうか。
黙々と壁にむかってボールを投げていた。
「やぁ、投げ込みかい?」
男は少年に声をかけた。
が、
「…?、なんだよ、てかアンタ誰?」
振り向いた少年は学校の体操着姿で、顔には無数の傷痕があった。
だか、男はそんなことよりも、少年の眼を見た瞬間、体中に電撃が走った。
こいつ…
「なぁ、君東京で野球やらないか?」
男は少年にそう言った。
「はぁ?まず質問に応えろよ!!」
少年は男に殴りかかろうとした。
ガシィ!
「!!」
「俺は東京青稜高校硬式野球部監督の大橋知也(おおはしともや)という者だ。君には才能がある。ぜひウチで野球をしないか?君ピッチャーだろ?」
大橋はそう言った。
「俺は延岡東中の藤谷鉄生(ふじがやてっしょう)だ。俺と勝負して勝てたらアンタのお望み通り東京に行くよ。」
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