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9月、俺は担任との進路相談で東京青稜にいきたいと話した。
まぁ当然
『お前あんなトコ何しにいくんだ?』
って言われてムカついたから担任に裸締めをくらわしといた。
その日の帰り。
いつものように公園へ帰ろうとした時、
「おい、鉄生」
校門前で鉄生を呼び止めたのは、野球部でチームメートだった岸本だった。
「お前、青稜に行くつもりらしいな」
「……だからなんだ?」
「俺…いや、野球部のみんなはお前を絶対に許さない。青稜に行ってもお前程度は泣きを見るのが関の山だ」
「……何言ってんのかよく分かんねぇよ」
「……俺や岩村、準之輔たちは福国(ふっこく)に行く。俺たちが甲子園で優勝するのを黙って見てるんだな」
そう言うと岸本は帰っていった。
(………待っていろ、今に見返してやるからよ!)
月日は流れ、3月。
俺は相棒のテントら荷物一式を持って電車に乗っている。
行き先は東京だ。
初めての飛行機は墜落のイメージしか湧かなかった。
『間もなく西京~西京です。お出口は左側です…』
電車を降りて、駅前のロータリーを見渡せるベンチに腰掛けた。
(東京=都会だと思ってたけど、この西京市ってあんまり向こうと変わらないな)
そう思っていた時、黒い車がベンチの前に停まる。
「よぅ!よく東京まで来れたな!」
大橋だった。
約10分間の間、車に揺られてようやく目的地に着いた。
そこは極々普通の一軒家だった。
「階段上がって1番奥の左側だ、呼びに行くまで部屋でゆっくりしてろ」
言われるままに階段を昇り、1番奥の左側へ向かった。
(1号室か…)
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