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たいして多くない荷物を置いて廊下に出た。
ふと向かいの4号室のドアが目に留まった。
ドアには
『日向』とかかれたプレートがかかっていた。
そういえば俺以外にも宮崎出身が一人同じ下宿だってアイツ言ってたな。
そんなことを思い出しながら階段を降りていった。
引き戸を開けると広めの茶の間のような部屋だった。
横長なテーブルの周りに3人ほどが座っていた。
「お!新入りだな!」
1番年上に見えた人がそう言うと、
「ヒャハハ、これまたワルそうな新入りだなぁ!」
と隣にいた人が笑っていた。
おめーの方がよっぽどワルそうじゃねーか。
殺すぞハゲ。
しかし、もう一人は違った反応をした。
「鉄生…」
そいつを鉄生は知っていた。
「ナオキ…」
「ハハッ、鉄生だったのか。延岡東で僕以外に青稜いくやついるって聞いて、1号室に藤谷ってあったからもしやと思ったら、やっぱり鉄生だったんか」
そう、こいつは
日向直樹(ひゅうがなおき)
鉄生の数少ない理解者だったやつだ。
直樹には随分と世話になった。
台風の日には自分ん家に泊めてくれたり、夕食に誘ってもらったり…。
人間関係が擦れていた俺にとって心を許せる数少ない人物だ。
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