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雑居ビルが窮屈そうに立ち並ぶ繁華街の、薄汚れた路地裏。
11月の寒空の下、時刻は午前1時17分を回っていた。
表通りとは対照的に外灯も人通りもないその場所で、中年の体格のいい男と、ナイフを持った青年が対峙していた。
男は、突如現れた青年を見てひどく狼狽していた。
青年はパーカーのフードを目深に被り、そこから覗く傷んだ金髪は見るからに今風の若者であったが、その鋭い眼光は彼が一般人ではないことを物語っている。
「お、お前一体どこの組のっ!」
動揺した男が胸元に隠し持った拳銃を抜き取るより先に、青年はナイフで男の喉を掻き切った。
「…ただの殺し屋だ」
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