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男は声にならない悲鳴をあげ、血を吹き出しながら地面に倒れこんだ。
ジワリ、と赤黒い血溜まりがアスファルトを侵食し、鉄の錆びたような臭いが青年の鼻孔を刺激する。
ただの無機物となった男の、手の甲に刻まれた蛇が血に濡れ艶めかしくうねっていた。
青年は洗練された動きでナイフに付着した血を払い落とすと、それを腰のケースに仕舞いこむ。
カタン!
背後から聞こえた物音に振り返ると、それに気づいた人影が慌てて走り去っていった。
――見られた!
青年は舌打ちすると、人影を追うために走った。
『目撃者は消せ』、それがこの業界の暗黙のルールだ。
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