-1-

4/8
前へ
/60ページ
次へ
 人一人通るのが精一杯なほど狭く、入り組んだ路地に二つ分の足跡が響く。  散乱したゴミに足を取られ何度も転びそうになりながらも、人影は必死に足を動かした。追いつかれたら命はない。 焦る思いとは裏腹に、表通りに出ようとすればするほど先回りされ、辿り着いたのは冷たいコンクリートに囲まれた行き止まりだった。  ゆっくりと足を止めた青年を見て、前後左右すべての退路を断たれた哀れな獲物は、壁を背に硬直するしかなかった。  青年は冷たく光るナイフを片手に、獲物に近づいていく。 ・
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加