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安っぽいラブホテルのソファーに座り、男は煙草を吸っている。
私はシーツを巻いてベッドに寝そべったまま、ぼんやりとその姿を見つめていた。
「そろそろ出よう」
男は煙草を灰皿に押し付け、急かすように言った。
情事後の優しさも余韻もあったもんじゃない。
尤も男にとって私は一夜限りの相手にすぎない。
お互い本当の名前すら知らぬまま、初めて会った今日、身体を重ねたのだ。
男と出会った場所はパチンコ屋。
私が夕方ふらりと入ったその店で、すでに男はドル箱を10箱以上積み、煙草を吸いながら上機嫌で打っていた。
年齢は40代半ばに見えた。
スーツを着て足元にはビジネスバッグが置かれているから、おそらく会社員だろう。
空いていた男の隣の台に私は座った。
子供もいない専業主婦の私にとって、パチンコはストレス発散の一つ。
近所の人には見られたくないので、地元のパチンコ屋には行かないけれど。
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