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「おっ、いいねぇ。お姉さん、お酒は飲めるの?」
男は私の誘いに乗ってきた。
何かを期待するような喜々とした表情で。
「人並みには飲めるわ。それほど強くはないけど」
「よし! じゃあこの大当たりが終わったら行こう。お姉さんはもう打たなくていいの?」
「ええ」
堂々とこんな会話をしていても、パチンコ台の音は大きくて周りには聞こえない。
男は5分ほどで大当たりを消化し、私たちは一緒にパチンコ屋を出た。
「5万も勝ったから奢るよ」
景品交換所で現金を手にした男は嬉しそうに言う。
そして私たちは近くの居酒屋で一時間ほど飲み、頃合を見計らって私は甘い声を出した。
「かなり酔ったみたい。どこかで少し休んで帰りたいわ」
一瞬だけ驚きを見せた男はすぐ歓びの表情に変わり、私は男に肩を抱かれながらタクシーでホテル街へと向かっていた。
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