11335人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
行為の最中、私の反応があまり無かったことを気にしているのか、男は聞いてきた。
私は「ううん」と曖昧に答える。
「今、何時だろう? そろそろ帰らないと……」
男は急に現実を意識したように、ベッドの側の時計を見る。
ちょうど10時半になるところだった。
「遥子さんも帰った方がいいよ。家族が待ってるでしょ?」
私は男に名字は教えず、下の名前だけを教えていた。
「私は一人だもの」
「そっか。俺は帰らないと……」
男は立ち上がって服を着始め、身支度が終わるとソファーに腰を沈めた。
「ねぇ、また会える?」
私はベッドから出ようともせず、男に聞いてみた。
「うん、そうだな。でも……」
最初のコメントを投稿しよう!