誘う女・遥子

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行為の最中、私の反応があまり無かったことを気にしているのか、男は聞いてきた。 私は「ううん」と曖昧に答える。 「今、何時だろう? そろそろ帰らないと……」 男は急に現実を意識したように、ベッドの側の時計を見る。 ちょうど10時半になるところだった。 「遥子さんも帰った方がいいよ。家族が待ってるでしょ?」 私は男に名字は教えず、下の名前だけを教えていた。 「私は一人だもの」 「そっか。俺は帰らないと……」 男は立ち上がって服を着始め、身支度が終わるとソファーに腰を沈めた。 「ねぇ、また会える?」 私はベッドから出ようともせず、男に聞いてみた。 「うん、そうだな。でも……」
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