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そんな中、千早が唯一認める存在は今は亡き父、母、それと春香だけであった。
「あっ!見て見て、千早ちゃん!タンポポが咲いてるよ!」
「あら?本当・・・もうそんな季節なのね・・・」
そのタンポポは、今から襲いくるどんな自然の脅威にも負けず、たくましく育っていく姿を思い浮かべた千早は春香みたいだな、とちょっと笑ってしまった。
春香はそんな子だった。
どこまでも前向きで、どんなことがあっても絶対に挫けない・・・とても強い女の子であった。
「千早ちゃん?」
タンポポをいつまでも眺めている千早を不思議に思い、春香が声を掛けた。
「あぁ、ごめんなさい。何でもないわ」
「なら、良いけど・・・?」
千早は立ち上がり、歩き始めた。
春香は置いていかれそうになり慌てて後を追う。
今日は二人で山の頂上でお弁当を食べにピクニックに来ていたのだ。
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