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山を半分程登っただろうか。
突然春香は整備された道路から草木が生い茂った横路へと入って言った。
「春香、どうしたの?」
「千早ちゃん、覚えてない?この道・・・」
千早は自分の過去を振り替える。
「ほら、私達が確か5歳位の時だよ。二人で今日みたいに山頂を目指そう!って言って・・・」
春香の言葉で千早は完全に思い出す事が出来た。
「懐かしいわね。春香がこの道を見つけて・・・」
「久々にまたここを通りたくなっちゃってね」
「良いんじゃない?春香が通るなら私も通るわ」
「よ~しっ!では、出発進行!!」
二人は入って行こうとするが、子供の頃より体が大きくなってしまったため入り口が小さく、身を屈めて入って行った。
途中の道もやはり狭く二人が抜け出した時には二人の息は切れ、服にも葉っぱや木屑などが引っ掛かっていた。
「つ・・・疲れた~!」
春香が溜め息混じりで言う
「やっぱりこの年であの道はきついわね・・・」
千早も春香と同様に溜め息を漏らす。
「年って・・・千早ちゃんも私も若いでしょ?」
「それでもあの道は厳しいわよ!」
千早は照れているのか、少し顔が赤く染まっていた。
「まぁでも、これでかなり近道出来たし、頂上までもう少しだよ!」
確かにこの道はかなりの時間短縮になったはずだと千早は思い、二人は再び歩きだした。
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