~第一章~

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私は細川歩。 めぐりヶ丘高等学校に通う高2。 今日も毎日と変わりない朝をむかえた。 車に乗り、学校まで送ってくれた母。 相変わらず今日も学校は騒がしい。 隣の席から、「今日、転入生来るんだってー。」 という会話が一瞬、聞こえた。 へぇ~どんな人なんだろ… まぁいいや。 歩は、誰一人友達がいない。 喋る相手もいない。 譬え喋ったとしても、すぐに話が尽きる。 そんなことを考えていたら、担任が教室に入ってきた。 朝の会が始まった。 担任が喋り始めた。 『え~おはようございます。今日は転入生を紹介します。』 教室のドアを開け、入ってきたのは… 私とそっくりな人物だった。 自己紹介。 「細川歩といいます。どうぞ仲良くして下さい。」 えっ…私と同じ名前… 担任が余計なことを言う。 『同性同名!すごいなぁ!みんな間違えないように呼ぶんだぞ~!』 また、教室が五月蝿くなってきた。 転入してきた歩の方に女子達が寄せ付けられていく。 {どこに住んでるのー?} {誕生日いつー?} {血液型はー?} その会話を私は盗み聞きした。 驚くことに、住んでる所も誕生日も血液型も一緒だった。 その歩が言った。 「私と同じ名前の子って、どこにいますか?」 ヤバい! 私は教室を出て音楽室の隠れ家に隠れた。 足音… 息を殺した… 「みーつけた。細川歩ちゃん。」 バレちゃった… 「なんで隠れたの?」 ・・・ 「だよねー同じ名前だもんねー。」 喋り方も一緒。 [なんでわかったの?] 「あんたが考えてることは全て読んでる。」 ばっかじゃないの… 「今、ばっかじゃないの…って思ったでしょ。」 [うん。] 「私は歩ちゃんと仲良くなりたいからここまで追いかけてきた。」 [そっか] 「何その返事…」 ・・・ 「まぁいいや。これからゆっくり語りましょ。」 [うん。] それからの私と転入生は、3時間ほど喋っていた。 誕生日も、血液型も、趣味も、特技も、生まれた時間も、好きな教科も、嫌いな教科も… ヤク…というか、全てが同一した。 なんだか少し怖くなってきた。 体調が悪いと言い訳をして転入生と別れた。 そして学校を立ち去った。
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